石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

菅生ヶ丘宅地開発に伴う市道の認定には問題があります。

宮前区の菅生ヶ丘で行われた宅地開発は、住民から2度にわたり請願が出されるなど、問題の多い開発事業でした。今回、開発事業で作られた道路を市道として認定する議案が出されました。日本共産党は、市有地の処分のあり方に大きな問題があることから、反対しました。

すこし、わかりにくい話なので、反対理由を述べた「討論(6月17日 石田和子議員)」をご紹介したいと思います。

(討論の内容)

議案90号、市道路線の認定および廃止についてです。今回提案のあった市道の認定の内、宮前区内の菅生ヶ丘2号線、3号線の認定について問題点を指摘しておきたいと思います。

この道路は、菅生ヶ丘の宅地開発に伴い整備されたものですが、開発地域内の道路整備には、地域住民から疑義が上がっていました。この開発行為では、市道284号線を支えていた道路の擁壁部分を埋めて宅地化した部分を、事業者に提供する一方、開発で生じた道路を市に提供するという「相互帰属」という、土地を交換する手続きが取られました。

しかし、この土地の交換は、極めて事業者に有利なものでした。市道の擁壁部分を埋めて作られた155㎡の土地がなければ、宅地の販売戸数を減らさざるを得ず、事業者にとっては、大変重要な土地でした。

一方、事業者からは、交換用地として提供された土地は、開発事業にとって必要な道路を整備した部分に過ぎず、わざわざ、市の土地と交換する必要のない土地でした。

さらに、この交換について、住民に対し、事前に説明がされていなかったことにも、問題があります。もともと、市道の土地の交換や付け替えについては、隣接する住民の影響があることを考え、地元町会長の承認を得ることになっていますが、当該地の場合は、「擁壁部分であることから、住民には影響がない」との市の判断で、地元の承認を取らずに手続きが行われました。

このような土地の交換について、地元町会をはじめ多くの方から、「市道284号線の法面の付け替え取り消し」と埋められた市有地を活用した「道路の拡幅」を求める請願が出されたことについて、市は真摯に受け止めなければなりませんでした。

もともと、この開発事業は、「問題がある」と住民から計画の見直しを求める請願が出されていたもので、2年前のまちづくり委員会では、「住民の生活環境に配慮していない」ことや、「アセス逃れの疑義がある開発である」ことが、問題なり、趣旨採択となっていたものです。このような経過を踏まえれば、今議案の提案も、もっと、慎重に行われるべきであり、住民にも何ら説明されることなく、進められようとしたことは、極めて遺憾であると言わなければなりません。

今議案の審査にあたって、住民からの請願審査を急きょ併せて行うなど、混乱がありました。委員会冒頭で建設緑政局長も、議案提案の経過について謝罪するなど、異例の事態となりました。委員会では、退避場所の確保等含めて車道と歩道の幅員の見直しをするなど、地元住民の意見を伺って安全対策を図るとのことになりましたが、当該開発計画に伴う行政財産の処分のあり方について問題がなくなったわけではありません。

市民生活に欠かせない基盤道路を市道として認定し、市が責任を持って管理することになる「市道路線の認定」については、反対するものではありませんが、行政財産の処分のあり方に納得できないものがありますので、議案第90号には、賛成できません。

(今後に向けて)

この件は、6月14日まちづくり委員会で請願審査と併せて行われました。委員会では、今後も安全対策について、検討することが約束されました。「道路の整備は終わっている」として、安全対策の道を閉ざしていた市の対応を改めさせたもので、今後の安全対策を講じるうえで、大きな足掛かりとなります。具体的には、さらなる道路の拡張が必要ですが、これからも地元町会、住民の皆さんの声が反映できるよう頑張りたいと思います。