石川けんじ
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「川崎市による憲法違反の政党機関紙購読調査」裁判で「調査」は不当、不要と明言!

 

この裁判は、川崎市が2003年3月に行った「政党機関紙購読調査」(アンケート)が、「思想の自由」「プライバシー権」を侵害する憲法違反だとして当時の市職員6名が損害賠償請求を行ったもので、9月29日東京高裁で、調査は「適法」との判断を示し、原告の控訴を棄却したものの、その内容は、「調査の質問項目の中には、思想及び良心の自由の保障との関係で限界に近い領域にあると言わざるを得ないものがあり」「回収方法についても不十分であると言わざるを得ない」「実施すること自体の当否や実施するとしてもより穏当な方法について、適切な判断がされたとは認めがたい」など、原告の主張を認めている点で「実質勝利」と言えるものです。

事の起こりは、共産党市会議員が14名当選した99年の地方選挙の次の選挙の直前に起こりました。公明党議員が02年12月に共産党議員の職員への赤旗の購読を働きかけて・・・市の職員は、圧力を感じて、やむなく購読している」と質問、阿部市長が「極めて重要な問題」として調査の約束をしたことに端を発しています。調査の本当の目的は、前回市議選で共産党に後れを取った公明党と市長選挙(2001年)で唯一公明党の支持を受け「共産党市政ノー」を掲げて当選した阿部市長の極めて政治的なものでした。

それは、まさに踏み絵でした。アンケートは「強制ではありません」と行われました。しかし、事実上、誰が答え、誰が答えなかったのか、分かってしまう方法で行われ、アンケートに答えるかどうか自体、市長に対する態度表明に他なりませんでした。「購読の圧力を感じていたか」を問うアンケートは、「ない」と答えれば共産党支持者とみなされ、差別されるのではないかという恐怖感を与えました。

阿部市長は、行政改革を本格的に進めようとしている時でした。2003度の予算では、高齢者サービスの負担を増やし、翌年7月には、敬老パスの有料化を進めました。もちろん、市民からの多く行革に反対する声が寄せられましたが、そんな市民の声を聞き入れず、行革を進めるには、職場を物言えぬ職場にする必要がありました。「購読調査」は、そのためにも効果的と阿部市長は考えたのでしょう。

6人の勇気ある行動が、職場の自由を守る光を守りました。今も、私たち議員は、職員の方々に、赤旗の購読を呼び掛けています。それは、国の悪政の下で、地方自治体の使命である「住民の福祉の向上」を行うためには、国の下請け機関ではなく、住民の側に立った市政運営が必要であり、赤旗の報道は、客観的事実を伝える市政運営には欠かせない情報だからです。裁判は、これで決着となりましたが、その成果を生かしてゆくのはこれからです。私も、原告6名の方の思いと裁判を支えた市民の皆さんの思いにこたえられるよう、民主的な市政を目指して頑張りたいと思います。