石川けんじ
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中学校給食の実施は自校方式で!

  新年度予算の目玉の一つ、中学校の給食の実施があります。市長は、2年後の2016年度全校実施を掲げていますが、その手法は未定で、新年度の予算案では「実施方針の策定及び施設・設備の改修計画の策定(『川崎市予算案について』より)」となっています。

中学校給食について、保護者や生徒・児童はどう考えているのでしょうか?

  教育委員会では、昨年12月にアンケート調査を実施、その結果を2月12日に発表しています。中学校51校の1学年から1クラス、小学校14校の6学年から1クラスずつ、合計65クラスの生徒・保護者を対象にアンケートを行い、回収率は95.8%と関心の高さを示しています。私が注目したのは「食育」についての項目です。「食育」に「関心がある」「どちらかと言えば関心がる」と回答した保護者は9割を超え、児童生徒でも6割強に上ります。「食」を通して学ぶことに期待を寄せています。しかし、市長の施政方針には「安全・安心で温かい給食を平成28年度(2016年度)に全校で導入することを目指して、民間活力を最大限に活用しながらスピード感を持って取り組みを進める」と「民間活力の活用」を掲げビジネスとしての位置づけは強調されましたが、「食育」という文言は、一言もありませんでした。

子どもの笑顔あふれる学校給食-「奇跡の給食」

  私たちが中学校給食について視察をした高崎市では、1987年から全小中学校で自校方式により実施。合併によりセンター方式の給食施設も一部ありますが、自校方式への切り替えが進んでいます。特徴は、「食育」に力を入れている点です。各学校に配置されている栄養士によって、独自の献立を作り、地域で生産された食材を使い、栄養の知識などを教室を回って伝えます。子どもの健康を願って編み出されたメニューは「高崎市 奇跡の給食」としてレシピ本が出るほど、優れたものです。まさに「子どもの笑顔あふれる給食」でした。

  校長先生が生徒と一緒に地域の畑に出て、収穫に行った時の話をされていましたが、「収穫を通して作る苦労や喜びを一緒に体験する時間は貴重です。」と話されていました。こうした取り組みを支えているのは、市の姿勢と学校栄養士会・給食技士会の皆さんであり、その支えがあればこそ、質の高い「食育」の実践が可能なのだと思いました。

美味しくて、楽しい給食、学べる給食は自校方式で

「食育」の充実を考えれば、高崎市のように自校方式で栄養士を各学校に配置して行うことが望ましいのは言うまでもありません。「食育」という文言に触れなかった市長の市政方針演説には、中学校給食を「民間の仕事起こし」と考えているのではないかと思わざるを得ませんでした。「子どもの笑顔」を目指すなら、高崎市のように、栄養士さんたちの力も十二分に発揮してもらえる自校方式が必要です。