石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

私学助成の充実を!

2009,07,22, Wednesday

7月22日の市民委員会で「国と神奈川県に私学助成の充実を求める意見書の提出を求める陳情」を審査しました。「神奈川私学助成をすすめる会」が陳情したもので、1)国に対し、地方自治法第99条に基づき「私学助成国庫補助金の削減方針に反足し、増額を要望する」の意見書を提出してください。 2)神奈川県知事に対し、地方自治法第99条に基づき「平成21(2009)年度補正予算と平成22(2010)年度予算において私学助成の充実を求める」意見書を提出してくださいというものです。(結果は継続審議、共産党は意見書提出を主張)

保護者の経済的負担は限界
市内の公立中学校卒業者の進路状況をよると、2007年度の卒業者総数8,562人中、全日制高等学校にへの入学者は、7631名(89.1%)です。そのうち、私立高校への入学者は2953人(38.7%)にも及びます。現在の不況は、子どもたちの通学にも大きな困難をもたらし、陳情書の中にも、神奈川県では、「県内私学43校・39,495名のうち、2009年3月現在の学費滞納者は、195人、そのうち6カ月以上の滞納者も114名に上り、さらに経済的な理由による退学者は付属中学を含めると31名にも及んでいる」と指摘しています。」

神奈川県の私学助成額は全国最低水準
全国私立学校教職員組合連合の調べでは、2009年度、高校生一人当たりの私学助成単価は30万1927円で全国42位と最低ランク、国基準の30万2943円をも下回ります。詳しいデータは下記へアクセスしてください。
http://www.zenkyo.org/shikyoren/pdf/09sigaku.pdf
こうした状況だけに、神奈川県に私学助成の充実を求めることは、当然の要求であるとともに、子どもの学習権を保証するうえでも、重要な課題といえます。

県外通学者へは、保護者への直接補助が必要
私学助成は、学校の運営費補助を出すものと保護者に直接補助を出すものがあります。保護者の所得が低かったり、退職・倒産によって、急に所得が減少した場合には、入学金や授業料を軽減する制度がありますが、いずれも県内の私学に通う生徒に限られます。川崎市で私立学校(全日制・定時制高校)に通う生徒数は、2973名、そのうち、県外の学校に通う生徒は、2177名と73%にも及び、この人数は、市内の高校生の約25%にもなります。この子たちが、直接の補助が受けられないことは、大きな問題です。川崎市としても、県に対し、対象児童の拡大を要望していますが、現在の経済状況を考えれば、その声を強めていくことが必要です。

学費の負担軽減=本共産党の提言
日本共産党は、2008年4月に「『世界一高い学費』を軽減し、経済的理由で学業をあきらめる若者をなくすために」という提言を発表しています。(1)公立高校の授業料減免を広げる。私立高校の授業料を減免する「直接助成制度」を作る。(2)国公立大学の授業料減免を広げる。私立大学の授業料負担をへらす「直接補助制度」を作る。(3)国の奨学金をすべて無利子に戻し、返済猶予を拡大する。経済的困難を抱える生徒・学生への「給付制奨学金制度」を作る。(4)学費の段階的無償化」を定めた国際人権規約を批准する。の4項目です。

「学費の段階的無償化」は世界の常識。
あまり知られていませんが、国際人権規約の第13条は高校と大学を段階的に無償化することを定めています。日本政府は、国際人権規約に加わりながら、この条項については「保留」にしたままです。条約加盟国157カ国中、日本とマダカスカル、ルワンダの3カ国だけです(2008年2月現在)
世界の常識となった「学費の無償化」への道を進むよう、政府はその姿勢を明らかにすべきです。

自民・公明・民主・神奈川ネットは継続。共産党は意見書の提出を求めました。
これらの事実を踏まえ、私たちは、意見書の提出をすべきと主張しました。しかし、自民・民主・公明・かながわネットの委員は、「内容に異論はないが、国もいろいろ動いているので、推移を見守るべき」と継続を主張しました。私たちは「県や国の方向性がコンクリートされる前だからこそ、意見書に意味がある」と主張しましたが、他党の姿勢は変わりませんでした。意見書の提出は全会派一致が原則なので、私たちも継続に同意しました。