石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

宮崎保育園の民営化について

2008,09,12, Friday

子どもの通っている公立保育園が 突然の民営化。
どう考えたらいいのか、保護者の方は悩むでしょう。
川崎市では、公立保育園の民営化を進めています。
保育緊急5カ年計画において、2010年度の公立保育園民営化5園をするとして、
宮前区では、宮前平保育園(2009年度民営化)に続いて、宮崎保育園の民営化について保護者への説明会が行われています。
日本共産党はこの間、公立保育園の民営化には反対してきました。
民営化の理由について市の言い分は次の2点です。
①公立では時間延長など地域のニーズにこたえられない。
②経費が5000万円(年間)削減ができる。
(疑問1)公立保育園では柔軟な保育ニーズにこたえられないのでしょうか?
そんなことはありません。公立保育園は今までも時間延長(19時迄)に応えてきました。また、地域の子育て支援についても、園庭開放や子育ての相談にものってきました。こうした活動は、広く地域の皆さんから支持されてきました。時間延長についていえば、保育士の皆さんが反対して時間延長が行われないわけではありません。市がさせなかっただけです。公立保育園でも時間延長は可能です。
07年12月7日の健康福祉委員会で長谷川健康福祉局長はこう答えています。
「決して私どもが公立保育園の中で延長保育とかそういうほかのサービスをやらなくていいなどということは申し上げたことは一言もないわけで、(中略)進めようとしてきたのも事実でございます。」
公立保育園では、柔軟ニーズにこたえられないというのは、民営化を進める根拠にしようとしているだけではないでしょうか。
(疑問2)なぜ、そんなに民営化するのか?
財政的な理由だと思います。公立より民営のほうが経費が5000万円も安いと市は言います。同じサービスを提供するのだから、安いほうがいい。削減した分を他の保育サービスに回せるからとも、言います。
認可保育園であれば、保育士さんの給与体系は同じです。民営のほうが安いというのは、比較的キャリアの浅い保育士さんの比重が高ければ、人件費は安く済みます。民営化されたある保育園では、公立のときの保育士さんの平均経験年数は21.4年でした。民営化されたのちの平均の経験年数は4.0年でした。人件費の差は、経験年数の差と言っていいでしょう。そもそも、子ども育ちを経費削減の対象とするところに大きな問題があると思います。
また、子どもにとって、顔なじみの保育士さんによって、成長をも守られることが大切です。6ヵ月間の引き継ぎを行ったとしても、こどもにとって、環境の激変はけして好ましいことではありません。
公立でできる時間延長を理由に 経費削減のために 今の子どもたちに負担をかける今の民営化はすべきではありません。
しかも、これらの計画が、あたかも議会の決定であるかのような説明がなされていることは問題です。 民営化の方針は「議会が了解している」「パブリックコメントを経て策定された」と言って、あたかも、議会で決められ、反対しても仕方がないと言わんばかりです。宮崎保育園の民営化についても、議会で決定されたものではありません。
事実は、「保育基本計画」「保育基本計画(改訂版)」「緊急5カ年計画」にしても、議会が議決する対象ではなく行政が決めた計画です。議会では、条例に関するものや予算に関するもの、また、皆さんから出された請願などが決議されますが、保育園の民営化については、方針として示されたのは川崎市の「2002年保育基本計画」です。しかし、いずれも議会に報告はあるものの、議会の議決を必要としません。ただし、公立保育園の民営化(指定管理者の導入)については、条例の改定が必要です。議会では2004年第1回定例会で、多くの関係者、日本共産党が反対したにも関わらず、「指定管理の導入ができる」と決めました。しかし、いくつ民営化するのか どこを民営化するのかは 指定管理者を決める段階(宮崎保育園は来年6月)まで 議会の議決がありません。
見てきたように、個別の民営化は議会が決定して保護者の皆さんにお知らせしたというのではなく、あくまでも、行政の計画だということです。市民の声に耳を傾ける市の姿勢であったならば、このような計画を 市民に押し付けることはありません。
いま、国も安上がりな保育で増える保育需要に応えようとしています。認可保育園なのに園庭がなくてもよいとしたり、公立保育園の整備への国庫補助が
なくなるなど、国の支援も後退しています。こうした 国の支援策を改めさせることも重要だと思います。