石川けんじ
石川けんじ石川けんじ

委員視察で広島市を視察。市有施設の「屋根貸し」による太陽光発電事業について、話を聞いてきました。

11月14日15日の両日、大津市・広島市への委員視察に行きました。今回は、「市有施設の「屋根貸し」による太陽光発電事業についての視察内容を報告します。

広島市環境局 温暖化対策 竹内真理課長さんをはじめ、担当者からのお話をお聞きしました。

広島市では、事業者の意欲を活用して、太陽光発電の普及拡大を図るため、2013年度、2014年度において、事業者を公募し、市有施設の屋根を最長20年間貸与(目的外使用許可)する「屋根がし」事業を実施しています。

仔の制度は、市が太陽光発電の屋根貸しに適した施設の選定(13施設/1586施設)プロポーザル方式で募集し、20年間屋根貸しをするというもの。

この事業を実施するまでの経過は、2009年3月に「市有建築物省エネ導入項目」を定め、新築・改築等を行う市有施設への太陽光発電への太陽光発電システムの設置等を進めてきており、2014年度末で、小・中学校等の19施設に計532.21kWの太陽光発電システムを設置してきたと言うことでした。

2012年7月に国による「固定価格買取制度」が開始され、2014年度までの3年間、買い取り価格が高めに設定されたことから、事業者が土地や屋根を借りて、その上に10kW以上の太陽光発電システムを設置する事業が各地で進展し、こうした状況を踏まえて、実施された。

実施状況は?

公募対象は①建物の建設面積が1000㎡以上か築20年以内であること。②屋根の広さが250㎡以上かつ屋根の向きが北向きでないこと。③光害の可能性のないこと(反射光の被害等)。④過去に雨漏りの実績がなく、屋根材の耐久性により、雨漏りの可能性が低いことの条件を満たす市有建物を選定しました。

選定結果、小学校など13施設で公募を行い、9施設で発電を実施。

実施施設は、吉島体育館、伴南小学校、大塚中学校、西風館、伴福祉センター、東野小学校、みどり坂小学校、早稲田中学校、段原中学校。年間使用料は平米単価250円から300円程度で貸し出しています。

今後の方向性や課題について?

今後の事業拡大について、市として検討した結果、①引き続き、新規に公募する施設は、採算性の低い規模の小さい施設となること。②固定買取価格制度の見直しによる、買い取り価格の低減により、事業の採算性の確保が厳しくなったこと。③事業者へのヒヤリングの結果、平成27年度の買い取り価格のままであれば応募の可能性はあるが、低くなれば難しいとの以降が示されているとのコトから、現状の施設数で継続することになった。

市としての関わりや支援の仕方は?

当事業は、再生可能エネルギーの普及拡大を図ることを目的にした公益性の高い事業であることから、使用料金については、受益者負担の原則ではなく、事業者が参入しやすいように「減免」での扱いとした。具体的には、多くの自治体が採用している100円/(㎡・年)を最低価格とした。

次のような質疑を行いました。

○屋根貸しの対象を築20年以内とした理由は?

貸与機関を20年と定めていることから、建て替えの心配のない施設とした。

○公募した事業者は、何社?

2社あった。

○市営住宅は対象になるのか、国から補助金が入っている建物の場合、「屋根 がし」に制約はあるのか?

市営住宅は、狭く対象にしなかった。他の施設では、制約はないと思う。

○専門員はどのような役割があるのか?

建物新設時などに、施設を設置する場合、技術的な専門知識が必要となる。予算獲得のためにも必要。

○民間住宅での太陽光発電普及の取り組みは?

2013年まで実施していたが、2015年から家庭用電池の普及に取り組んでいる。また、広島市では、CO2の削減において、家庭、サービス部門が5割を占め、生産部門への働きかけと共に、その分野の削減に力を入れてゆきたい。

川崎市への反映は?

○市が整備する新築・改築等を行う市有施設への太陽光発電システムの設置が全庁的な指針として位置づけられ、財政的な裏付けを持って、事業推進が図られていることが、重要と感じました。

○既存の建築物についても「屋根貸し」を行い普及を進めているが、事業採算が大きな課題となっていること。川崎市では、環境運動として、市民の発電活動も取り組まれており、こうした、団体への貸し出しなども積極的に貸し出すことも、省エネの普及という目的を達成するためにも、必要ではないかと思います。