石川けんじ
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決算特別審査委員会報告 (その1)宮前区有馬・東有馬地区で検討されているコミュニティバス実現について

 

(質問の概要)

昨年3月の運行実験で経費の削減が課題とされ、市は地元協議会に対し、OB運転手による人件費の削減、運行時間と本数の削減を提案。私は、「住民は、運行時間を延長した運行を求めている」として、今後の計画の見直しに当たっては、地元協議会・行政・事業者・警察を含め、協議の場を持つように、求めました。飛弾まちづくり局長は、「状況に応じ、関係機関を交えた調整の場の設定についても考える」と答弁、小林交通局長は「公営バスが事業者として一層協力してまいりたい」と答えました。私は、「本格実施には採算性が大きな壁となっている。運行経費への支援を充実すべき」と求めました。

議会のインターネット中継(録画)

http://www.kawasaki-council.jp/

(質問全文)

まちづくり費の交通計画関連事業費について、まちづくり局長に伺います。

(質問1)

本市のコミュニティ交通の取り組みは、2000年度以来取り組まれており、10年の歳月がたち、早期に実現ができるよう、各地の取り組みが行われています。しかし、宮前区の野川南団地で団地自治会が運行する「みらい」が実現したものの、他の地域では本格実施に至っていなのが現状です。ここ5カ年のコミュニティ交通に関する事業費の推移をお示しください。そのうち、宮前区有馬・東有馬地域の取り組みに対する、決算額の推移もお示しください。

(答弁1・まちづくり局長)

コミュニティ交通に関する決算額についてのご質問でございますが、最近5年間のコミュニティ交通に関する各地区における取組への支援等の業務委託料と平成20年度の野川南台地区における車両購入費等を併せた事業費の決算額でございますが、平成17年度は630万円、平成18年度は1200万円、平成19年度は1360万円、平成20年度は約1320万円でございまして、平成21年度は、翌年度へ繰り越しているため、決算額はゼロでございます。次に、有馬・東有馬地区の取り組みに対する決算額についてでございますが、平成20年度に運行実験を行っておりまして、擁した費用は約310万円でございました。

(質問2・)

宮前区有馬・東有馬地域の運行実験は、2009年3月1日~3月28日までの28日間実施されました。宮前区役所から宮前平を通り有馬・東有馬地域を循環する路線を午前9時から午後6時30分までの時間を30分ごとに運行しました。1日当たりの平日の利用数の平均は316人、1便当たり16人の利用がありましたが、事業採算が取れないということで、現在、再度検討が進められていると伺っています。検討状況を伺います。

(答弁2・まちづくり局長)

有馬・東有馬地区におけるコミュニティ交通の取り組みについてのご質問でございますが、有馬・東有馬地区におきまして、平成21年3月に行われた運行実験の結果、事業採算性の課題などが確認されたところでございます。その改善策として、運行ダイヤの見直しやバス事業者のOB等の活用による人件費の低減等、本市としても提案し、地域として検討を続けている状況でございます。

(質問3)

有馬・東有馬地区の取り組みでは、採算性の課題を解消するために、ダイヤの見直し、人件費の削減等を市が提案しているとのことです。ダイヤの見直しとは、30分間隔を1時間おきにするというものだと伺っています。関係者の方にご意見を伺ったところ、「採算性を求められながら、利用客が見込める朝の時間帯の運行がされていなかった。9時からの運行時間を繰り上げ、検証することが必要だ」とのご意見が多く聞かれました。時間延長をすることに対する検討はなされたのか?また、検討の内容について、伺います。

(答弁3・まちづくり局長)

コミュニティ交通に対する本市の提案についてのご質問でございますが、本市では、前回の運行実験後、人権費の低減の可能性について、バス事業者のOB運転手の活用を提案してきたところでございますが、コミュニティ交通の運行内容を検討し、実現してゆくのは、あくまでも地元協議会でございまして、地元の取り組みを尊重してまいりたいと考えております。

地元協議会では、本市の提案を含め、運行時間帯の延長や運行ルート等も検討しているところで、ございます。それにより、車両数や運転手の増減が伴い、最終的な運行計画の確定には至っていない状況でございます。本市といたしまして、低コストで効率的な運行計画を協議会のみなさんが策定し、事業収支の確保が図れるよう、今後とも技術的な支援等を行ってまいりたいと考えているところでございます。

(質問4)

運行時間の延長については、検討し、車両増や運転手の増減があるとのことです、たとえば、利用の要望の高い、朝7時半から運行した場合、車両数や運転手さんの増はどうなるのか、経費的にはどのような影響があるのか、伺います。

また、「地元の取り組みを尊重する」とのことですが、この間の支援は、住民要求に対し、「それは、出来ない」と住民の声に対し、それを制約することになっていたのではないでしょうか。コースや運行時間について、まちづくり局がコーディネートして結果を住民に返すということではなく、交通管理者としての警察やバス事業者、まちづくり局、地元協議会等が一緒になって、どうすれば、住民要求に応えた運行になるのか、協議の場を設けることも必要と思いますが、対応を伺います。

(回答4・まちづくり局長)

コミュニティ交通の朝の時間帯の運行等についてのご質問でございますが、これまで地元協議会に対して65歳以上のバス事業者のOB運転手の活用を提案してきたところでございますが、朝の時間帯に運行を行った場合、必要な運転手の数の増加や、早朝からの勤務等によってOB運転手の確保が難しくなることなど、住民の皆さんと話し合ってきたところでございます。

今後も、地元の主体的な取り組みに対して、市といたしまして技術的な支援等を行ってまいりますが、そのうえで、検討が進み、運行計画案が具体化した段階では、交通管理者との調整も必要となりますので、想定される運行事業者を含め、状況に応じ、関係期間を交えた調整の場の設定等についても考えてまいりたいと存じます。

(質問5)

有馬・東有馬地域のコミュニティ交通を実施するためには、事業者の協力が不可欠です。試行運行の際にも、(株)東急バスとともに協力していただきました。先程のまちづくり局長の答弁では、運行時間の拡大を考える際、その課題には、運転手の確保等の課題もあるとのことでした。現状では、困難な面もあると思いますが、この事業を支える地元協議会、事業者、行政、警察が、それぞれ、もう一歩づつ踏み込んだ支援が必要だと思います。計画段階での協議への参加を含めコミュニティ交通実現ため、市民の足を支えてきた公営事業者として、さらなる協力をお願いしたいと思いますが、対応を伺います。

(答弁5・交通局長)

コミュニティ交通についてのご質問でございますが、有馬・東有馬地区におけるコミュニティ交通の取り組みに対しまして、市バスは事前調査や運行実験について協力を行ってきたところでございます。

地域の住民の方々が主体的に取り組むコミュニティ交通につきましては、行政やバス事業者が、それぞれの立場で支援しているところでございますが、交通局といたしましては、地元協議会が検討された運行計画につきまして、今後も、市バスが保有する運行にかかわるノウハウ等を提供するなど、公営バスが事業者として、一層の協力をしてまいりたいと思います。

(意見)

「一層の協力をしてゆく」とのことですので、計画段階から協議に加わり、課題の解決のための知恵だしをぜひお願いしたいと思います。今回、有馬・東有馬地区のコミュニティ交通の実現の課題について質問してきましたが、住民が望む運行実験すら実現しない実態の根底には、採算性の壁が大きな障碍となり、私が再三求めている、運行経費への補助を行うことが不可欠であることを痛感しました。改めて、コミュニティ交通の運行経費への支援の充実を求めておきたいと思います。