石川けんじ
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市民不在の「(仮称)川崎市子どもを虐待から守る条例 骨子案」の議論

 

9月27・28日両日、市民委員会において議員有志より「(仮称)川崎市子どもを虐待から守る条例 骨子案」が出され審議されています。

児童虐待をなくす取り組みを強化することは、大切なことです。そのために、国も「児童虐待防止等に関する法律」を改正し、「児童虐待は著しい人権侵害」であると明記し、国や地方自治体に「必要な体制の整備に努めなければならない」とその役割を定めています。「条例化」にあたっては、まさに、その具体化こそ、求められていると思います。

審議は始まったばかりで、内容については、今後の審議の中で明らかになってゆくと思いますが、私が驚いたのは、提案者の方の「市民参加」についての認識でした。

市民委員会では「条例について、市民参加で行うことが重要。市民の意見を聞くのか」とのわが党の質問に、提案者の議員は「市民の意見を聞くことは大切」としたうえで「案そのものが、市民意見を聞いて作ったという前提がある」「今後、市民に対して説明責任を果たし、対話を進めてゆく」と答えていました。決めてからは説明するが、決める過程では、もう、市民は意見を言うことができないということでしょうか。それは、おかしいし、やってはならぬことだと思います。いうまでもなく、市政運営に市民の声を反映させるのは、民主的運営の基本です。“案を作り上げるまでに意見を聞いてきた”ということが、市民参加を保障していることにはなりません。

私も、これまで「川崎市子どもの権利に関する条例」づくりや「住民自治基本条例」などの制定に参加してきましたが、いずれの条例も、市民からの意見募集はもとより、説明会や市民サロンなど、「条例づくり」に市民が参加できるようになっていました。議員だけで決めようとする姿勢は改め、市民参加で条例化を進めるべきです。

他の提案者の議員は、「(条例化を)急いだ方が市民の利益になる」とパブリックコメントなどの市民意見を反映する手続きを取らなかったことの理由にしていました。しかし、「市民の利益になる」とだれが判断したのでしょうか。自ら「いいこと」と思ったことは、人に押し付けてもいいのでしょうか。今回の議論を聞いて、「市民不在の条例化」と思わざるを得ませんでした。

児童虐待をなくすためには、いま何が必要か、私たち議員団でも議論をしてきました。現場の実情も調査しました。「条例」が実態を改善するために役立つものになるよう、これからの論議もしっかりと見守ってゆきたいと思います。